猫伝染性腹膜炎は猫コロナウイルス(FCoV)感染による致死性の高い病気です。
猫コロナウイルスは元々、ありふれた存在で、病原性が弱いものですが
ウイルス(RNAウイルス)が複製する過程で、ゲノム変異を生じ易く、病原性の強いものに
変化するとされています。(腸管上皮細胞の感染 ➡ 単球/マクロファージへの感染を
介して全身へ感染)
全身に感染することにより、単球/マクロファージへの感染を介した過剰な炎症反応が
起こり、浸出液が貯留(腹水、胸水、心嚢水)したり、肉芽腫を形成したりします。
治療は以前は対症療法(ステロイド剤、インターフェロン、輸液等)主体で、改善
もみられずに残念ながら、短期間で亡くなってしまう状況でした。
しかし、ここ数年において、猫伝染性腹膜炎に対する新しい治療薬が注目されるよう
になりました。
現在、国内で認可されてる薬品はなく、海外から個人輸入して入手することが可能
となりました。
当院でも、英国BOVA社からレムデシビル注射剤、経口GS441524の錠剤を入手しました。
ですが、わずかしか在庫していないため、実際に治療が必要な症例が来た場合、
追加輸入が必要となります。今後、治療体制を整えていく予定です。